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日本国憲法施行70年にあたり、憲法の基本原理を再確認し、これを守り抜く決意を新たにする会長声明
2017.08.18
日本国憲法施行70年にあたり、憲法の基本原理を再確認し、
これを守り抜く決意を新たにする会長声明
 
 日本国憲法が1947(昭和22)年5月3日に施行され、今年で70年を迎えた。
 この70年間、日本国民は、基本的人権の尊重、国民主権、恒久平和主義という憲法の基本原理や、憲法が最高法規として国家権力の濫用から国民の人権を保障するという立憲主義の理念を不断の努力によって守り抜いてきた。
 憲法9条については、1960年代の憲法調査会の設置など、何度も改変の危機があったにもかかわらず、第二次世界大戦で膨大な犠牲を払うことを強いられた国民の、戦争を二度と起こしてはならないという強い決意と行動の結果、明文による憲法改正を許さず、今日に至っている。
 また、憲法25条の生存権についていえば、ここ岡山において、国立岡山療養所に入所していた朝日茂さんが立ち上がった、いわゆる朝日訴訟が「健康で文化的な最低限度の生活」の実質的な保障につながる第一歩となった。
 しかし、いま、日本国憲法は最大の危機に瀕している。
 2014(平成26)年7月の閣議決定で、従来の政府の憲法解釈が変更されて、集団的自衛権の行使が容認された。これに対しては、当会を含む全国各地の弁護士会や圧倒的多数の憲法学者が憲法違反であるとの声明を出していたにもかかわらず、2015(平成27)年9月には新たな安全保障法制が成立した。こうして、憲法の基本原理である平和主義にかかわる重大な解釈を、憲法改正手続を経ずに変更した。 そして、新たな安全保障法制のもとで、早速、南スーダンに派遣されている陸上自衛隊の部隊に「駆けつけ警護」の新任務が付与された。その上、米国と北朝鮮の緊張関係の高まりを契機として、国民に対する十分な説明がなされないまま、2017(平成29)年5月に米国の艦船を自衛隊の艦船が守る「武器等防護」が、日本近海において初めて実施された。
 さらに、2017(平成29)年6月に委員会採決を省略するという異例の強行採決によって成立した、いわゆる共謀罪法(組織犯罪処罰法改正法)によって、プライバシー権(憲法13条)、表現の自由(憲法21条)、ひいては思想・良心の自由(憲法19条)すら脅かされようとしている。277もの広範囲な罪について、「準備行為」を要件としているものの、その適用範囲が限定されたものとは言えず、事実上、共謀のみをもって犯罪とする共謀罪法は、刑罰権の発動は実行行為をまって行われるという刑法の基本原則に反するものである。それにもかかわらず、日本における共謀罪法の必要性、犯罪主体等の構成要件について十分な審理を行わずに成立した共謀罪法は、罪刑法定主義(憲法31条)に反するのみならず、表現の自由(憲法21条)等の精神的自由に対する萎縮効果は大きく、基本的人権尊重の基本原理に反する。
 このような憲法の基本原理にとって重大な脅威となる法律が続々と成立する中で、明文の憲法改正を目指す動きも活発になってきている。安倍晋三内閣総理大臣は、今年5月3日、憲法改正を推進する集会の場に、自ら、「2020年までに新憲法を施行したい」、「憲法9条を改正し、自衛隊の存在を明記する」と発言したビデオメッセージを寄せた。憲法改正に関する国民的議論が進んでいない状況において、憲法改正を発議する立法府の頭ごしに、憲法尊重擁護義務(憲法99条)を負っている内閣総理大臣が憲法改正を主張することは、立憲主義を軽視するものといわざるを得ない。
 このように、この70年間、国民が守り抜いてきた憲法の基本原理を一気に破壊しようとする動きが着々と進行している。
 われわれ弁護士、弁護士会は、あらためて、日本国民がこの70年間守り抜いてきた憲法の基本原理を再確認するとともに、憲法の基本原理を破壊するいかなる企てに対しても、国民と共に抵抗し、不断の努力によって、憲法の基本原理を守り抜く決意を、ここに新たにするものである。
 
2017(平成29)年8月18日
 
岡山弁護士会    
会長 大 土   弘

 
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