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憲法尊重義務(憲法99条)を誠実に履行することを求める会長声明
2016.03.30
憲法尊重義務(憲法99条)を誠実に履行することを求める会長声明
 
 2015年(平成27年)9月19日未明に参議院で安保法案は強行採決の末成立し、2016年(平成28年)3月29日、施行されるに至った。以後、自衛隊はこれまで経験したことのない領域に活動の範囲を拡大することとなり、戦後の防衛政策は一気にその性格を変貌することとなる。1954年(昭和29年)の自衛隊創設以来、一人の戦死者も出さず、一人の外国人も殺していない自衛隊が、安保法制の下でその危険に晒されることとなる。
 われわれ弁護士、弁護士会は再三にわたって、集団的自衛権行使を容認する閣議決定の撤回及び安保法制反対を訴えてきた。なぜなら、まず、憲法9条のもとでは集団的自衛権は許されないとする歴代政権の解釈を、国民の意思を問うことなく一内閣の解釈で変更することは、立憲主義及び国民主権に反するからである。そして何よりも、集団的自衛権を認めることは、憲法9条及び前文で定める徹底した恒久平和主義に反するからである。したがって、昨年成立した安保法制は、明らかに憲法に反し無効な法律である。われわれ弁護士、弁護士会は、無効な法律の執行を許すことはできない。今後も、安保法制の違憲性を国民に訴え、その廃止を求める活動を国民とともに行う決意である。
 ところで、安保法案が国会で審議される前の2015年(平成27年)4月頃から、安倍政権の日本国憲法軽視の姿勢が顕著になってきた。たとえば、文部科学大臣が国立大学に対し、国旗掲揚・国歌斉唱を要請すると答弁したが、これは明らかに憲法23条で保障された「学問の自由・大学の自治」を侵害する行為である。また、政権与党議員らによる放送局に対する干渉行為は、憲法21条で保障する「表現の自由・報道、放送の自由」に対する侵害である。
 安保法制成立後は、さらに現憲法軽視の姿勢に拍車がかかり、放送局を所管する高市総務大臣の「電波停止発言」、立憲主義との関係で極めて問題のある緊急事態条項(国家緊急権)を、憲法上に組み込むべく憲法改正を行いたいとの発言等にみられるように、現憲法の理念や基本原則を無視あるいは軽視する言動が相次いでいる。
 現憲法が占領下のもとでアメリカ合衆国に押し付けられたものであるので、憲法改正をして自主憲法を制定すべきと安倍晋三氏が個人として考える事、また、国務大臣が個人として安倍晋三氏の考えに同調するのは、それぞれに「思想・信条の自由」があるので本来自由である。しかし、憲法によってその権限行使に縛りをかけられている国家権力の中枢にいる内閣総理大臣や国務大臣には、その職責上、当然ながら憲法尊重義務が課されていることに鑑みると、上記のような現憲法を無視あるいは軽視する言動は、極めて問題であると言わざるを得ない。
 よって、われわれ弁護士、弁護士会は、現憲法のもとで基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命(弁護士法1条)とされている立場から、現憲法の理念、基本原則を軽視あるいは無視するかのような言動を繰り返す安倍内閣総理大臣及び各国務大臣に対して、憲法尊重義務(憲法99条)を誠実に履行することを、強く求めるものである。
 
2016年(平成28年)3月30日     
岡山弁護士会     
会長 吉 岡 康 祐
 
 
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