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参議院の安保法案強行採決に抗議する会長声明
2015.09.24
 参議院の安保法案強行採決に抗議する会長声明
 
 今月19日、参議院本会議は、自民公明などの賛成多数で、安保法案を強行採決した。長年維持されてきた憲法解釈を一内閣の判断で変更したうえ、多数の国民の意思を無視して行われた、立憲主義・国民主権の原則に反する強行採決に対して強く抗議する。
 そもそも、安倍内閣は昨年7月、歴代内閣が継承してきた憲法第9条の解釈を変更して、集団的自衛権行使を容認する閣議決定を行い、続いて集団的自衛権行使を前提とする安保法案を今国会に提出した。この閣議決定は、憲法第9条の恒久平和主義に反するだけでなく、憲法改正手続を経ることなく一内閣の判断で憲法解釈を変更する点において立憲主義にも反している。日本弁護士連合会及び全国52すべての弁護士会が、この閣議決定を撤回するように何度も求めてきた。
 衆議院での審議中、憲法審査会に出席した与党推薦者を含む3名及び全国90%以上の憲法学者、数名の元内閣法制局長官、数名の元最高裁裁判官も明確に安保法案の違憲性を公述している。しかし、政府は、そもそも集団的自衛権について念頭になかった1959年(昭和34年)の「砂川最高裁判決」を合憲性の根拠に持ち出すなど、法律家として到底容認できない反論を重ねてきた。
 そして、多くの国民が今国会での成立に反対しているにもかかわらず、7月16日衆議院本会議は数を頼んで強行採決の暴挙にいたった。
 その後、審議の場は参議院に移り、国民の反対の声は一層大きくなった。例えば8月26日、日弁連主催の市民集会においては、元内閣法制局長官及び元最高裁裁判官、全国108の大学の学者らが一堂に会し、安保法案の違憲性及び廃案を主張し、続いて同月30日には市民十数万人が国会議事堂前に集まり、同時に全国300箇所以上で、数千、数万人の市民が集まるなど、連日のように全国津々浦々で安保法案の廃案を求めて集会やパレードが行われている。参加者の年齢層も、高校生からお年寄りまで広がっている。そして、9月初旬には、山口繁元最高裁長官が、「砂川最高裁判決」は集団的自衛権行使容認の理由にはならず安保法案は違憲と明言し、同月9日にも同様に大森政輔元内閣法制局長官も違憲性を公述し、同15日には元裁判官75名が連名で安保法案が立憲主義に反するなどする陳情書を参議院議長へ提出した。
 さらに、参議院の審議中、安保法案の問題点は以下のように一層明らかになった。すなわち、政府が合憲性の根拠とする「砂川最高裁判決」の成立以前に、田中耕太郎最高裁長官(当時)や藤山愛一郎外務大臣(当時)が米国駐日大使らと密会し、同判決の見込みなどについて報告した事実(米国公文書による)によって司法権の独立が改めて問題になった。そして、自衛隊の統合幕僚監部が安保法案成立を先取りした研究を行い、同様に、河野克俊統合幕僚長も、昨年12月、米軍幹部に対して安保法案の整備は今夏までには終了するなどと説明していたことなど国会の審議を軽視していたことが明らかになった。また、安保法案の法文上兵站活動の範囲について通常兵器はもとより核兵器の運搬も可能であることなど法案自体の欠陥も明らかになった。
 多くの国民の世論を聞こうとせず、違憲と主張する圧倒的多数の憲法学者など専門家の見解にも耳を貸すことなく、強行採決したことは、憲政史上最大の汚点となることは明らかである。
 我々弁護士及び弁護士会は、法の支配の下、人権擁護と社会正義の実現を使命とする立場から、平和主義、立憲主義、国民主権に反する違憲法案を衆議院に続いて参議院においても強行採決したことに怒りを込めて抗議する。
 
2015(平成27年)9月24日
岡山弁護士会     
 会長 吉 岡 康 祐
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