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「集団的自衛権行使容認の閣議決定」の撤回を求め、「新ガイドライン」及び「平和安全法制案」に反対する会長声明
2015.05.13
「集団的自衛権行使容認の閣議決定」の撤回を求め、「新ガイドライン」及び「平和安全法制案」に反対する会長声明
  
1  日本国憲法9条は、戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認を定め、徹底した恒久平和主義をとることを全世界に表明した。これは、先の大戦の多くの被害と加害の両方を経験した日本国民の願いであり、世界に向けての不戦の誓いでもある。
 戦後70年、憲法9条は幾たびか改変の危機に見舞われてきたが、これまでの政府は、憲法9条は個別的自衛権までは放棄しておらず、自衛隊は専守防衛に徹する必要最小限度の実力であるから憲法9条の「戦力」ではないという解釈のもとに、外交・防衛政策をとってきており、かろうじて憲法9条は堅持されてきた。
 しかし、2014年7月1日に、これまでの政府見解を変更し、現行憲法9条の下でも集団的自衛権の行使は可能であるとする閣議決定がなされた。これに対し、日本弁護士連合会及び岡山弁護士会をはじめとする各単位会は、この閣議決定は恒久平和主義及び立憲主義に反するので撤回せよとの会長声明・総会宣言・決議を幾度となく出してきた。
2 ところで、政府は、本年4月27日、米国との間で、新たな「日米防衛協力のための指針」(以下「新ガイドライン」という)に合意した。この新ガイドラインによれば、緊急事態のみならず、平時、グレーゾーン事態を含むあらゆる状況において、切れ目のない緊密な日米の軍事協力により、大気圏外及びサイバー空間にも及んで、アジア太平洋地域及びこれを超えた全世界に及ぶ日米同盟関係を形成するものとなる。これは、日米及び極東の平和と安全の維持に寄与することを主眼としてきた従来の日米同盟の本質を根本的に転換するものであると言わざるを得ない。
 すなわち、新ガイドラインは、日米両国が、米国又は第三国に対する武力攻撃に対処するため、日米両国が当該武力攻撃への対処行動をとっている他国とも協力することを取り決め、集団的自衛権に関しては、自衛隊が機雷掃海、艦船防護のための護衛作戦、敵性船舶の臨検及び後方支援を行うこと等を具体的に定めている。また、これまでの「周辺事態」にとどまらず、「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」への対応、及びアジア・太平洋地域を超えたグローバルな地域の平和と安全のための対応として、自衛隊と米軍が、実行可能な限り最大限協力するとし、後方支援を行うこと等を定めている。
 もとより、国家の安全保障・防衛政策は、日本国憲法前文と憲法9条が掲げる徹底した恒久平和主義に基づいて行わなければならない。集団的自衛権の行使はもちろん、世界中に自衛隊を派遣して米国等の戦争の後方支援をし、武力行使の道を開くことは、日米安全保障条約の範囲すらも超えて、明らかに恒久平和主義に反するものである。
 のみならず、集団的自衛権行使を容認し、世界規模での自衛隊の活動を認める内容の新ガイドラインについて、憲法改正の手続きを経ることなく、単なる政府間の合意でなされることは、立憲主義の根本原則を踏みにじるものである。
 しかも、新ガイドラインの合意に際し、日本政府は、まだ国会に上程されていない安全保障関連法(平和安全法制整備法案)について、今国会で成立させると米国に約束した。まだ、国会にも上程されておらず、かつ、法案の内容すらも明確になっていない段階で、米国との約束を先行させ、既成事実化しようとするもので、国権の最高機関である国会そして何よりも国民を完全に無視する態度と言わざるを得ず、民主主義・国民主権に著しく違背し、到底許されない。
3 自民、公明両党は、5月11日の与党協議会で、新しい安全保障法制を構成する11の法案の内容で正式に合意した。今後は、閣議決定を経て、15日には国会に提出し、5月下旬より国会審議に入ると報道されている。
 自衛隊の海外派遣の恒久法である「国際平和支援法案」と、武力攻撃事態法改正案・重要影響事態法案(周辺事態法)・自衛隊法改正案・PKO協力法改正案等を含めた10法案の、合計11の法案は「平和安全法制」と命名され、これらの法案は、「日本の平和と安全」に関するものと、「世界の平和と安全」に関するものに分かれる。
 前者の「日本の平和安全」については、武力攻撃事態法改正案に、集団的自衛権行使の要件として「存立危機事態」を新設し、日本が直接、武力攻撃を受けていなくても、日本と密接な関係にある他国が武力攻撃されて、日本の存立が脅かされる明白な危険がある事態で、他に適当な手段がない場合に限り、自衛隊が武力行使できるように、また、従来の周辺事態法は「重要影響事態法」に変わり、「日本周辺」という地理的制限をなくし、世界中に自衛隊を派遣できるようにし、後方支援の対象も、米軍以外の外国軍に拡大している。
 後者の「世界の平和と安全」については、「国際平和支援法」を新設し、国際社会の平和と安全を目的として戦争している他国軍の後方支援を、自衛隊が行うことを可能とする「恒久法」である。これまでは、自衛隊の海外派遣の度に特別措置法(時限法)を作ってきたが、この法案が成立すれば、国会の事前承認さえあれば、いつでも海外派遣することが可能となる。
 以上のような内容の「平和安全法制」は、「平和」「安全」とは名ばかりで、まさしく「戦争法案」と評価せざるを得ず、日本国憲法前文及び憲法9条の徹底した恒久平和主義に反するもので、到底容認できるものではない。かかる内容の法案は、これまで、平和国家として日本がとってきた外交・安全保障政策や方針を180度転換するものであり、国民的議論を背景にした慎重な国会審議と直接に国民の意思を問う憲法改正手続を経ることがないまま、今国会の会期中で早急に審議し成立させるべき法案でない。米国との約束の履行より、国民の意思と覚悟の確認を先行させるべきである。
4  岡山弁護士会は、以上の通り、「集団的自衛権行使を容認した閣議決定」の撤回を再び強く求めるとともに、「新ガイドライン」及びその国内立法として、今国会(第189回通常国会)で審議予定の全ての「平和安全法制案」は、日本国憲法前文、憲法9条、立憲主義、国民主権という憲法の極めて重要な基本原則に違反し、我が国の平和国家としての根幹を揺るがすものとして、強く反対するものである。
 
 
2015(平成27)年5月13日
岡山弁護士会     
会長 吉 岡 康 祐
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