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国選弁護報酬基準及びその運用の抜本的見直しを求める会長声明
2011.10.12
 日本司法支援センター(以下「法テラス」という。)は,2006年(平成18年)10月に業務を開始し,刑事事件については,法テラスが国選弁護人になろうとする弁護士との間で契約を締結し,国選弁護人候補の指名及び裁判所への通知,国選弁護人に対する報酬及び費用の支払いなどの業務を行うこととなった。
そして,国選弁護人に対する報酬及び費用の支払いは,国選弁護人が活動終了後に法テラスへ報告書を提出し,法テラスが国選弁護人の報酬及び費用を算定して,その結果を国選弁護人へ通知し,支払いを行うという仕組みになっている。
 この国選弁護人に対する報酬の算定に関して,先般,当会所属の弁護士が担当した国選弁護事件につき,次のような事例があった。
 被疑事実の要旨は,被疑者がA金融機関において,Bが同所に設置の現金自動預払機から取り忘れたA金融機関代表者管理にかかる現金5万円を窃取したというものである。そこで,国選弁護人は,Bに対して5万円を支払って示談を成立させ,同人から被疑者に対する減刑嘆願書を受領し,示談書及び減刑嘆願書を検察官に提出するという活動を行った。その結果,被疑者は不起訴処分となって釈放された。
 これに対し,法テラス本部は,「本件の被疑事実は金融機関が占有を取得したものとして構成されているため,本件窃盗の被疑事実に係る被害者はBではなくA金融機関とみざるをえず,Bとの間で示談を成立させ,減刑嘆願書を取得したことは弁護活動として評価できるところではあるが,現行報酬基準では算定することはできない」として,示談等の成立に関する特別成果加算報酬を0円と算定した。
 しかしながら,上記事例において,A金融機関からBへの補填はなされておらず,実質的な被害者は現金を取り忘れたBであることは明らかであって,Bとの間で被害弁償等の交渉を行った国選弁護人の活動は常識的かつ正当なものであり,また,その活動が不起訴処分という結果に結びついたといえる。他方,経済的被害が生じていないA金融機関との間で被害弁償等の交渉を行うことは,無意味である。
 にもかかわらず,法テラスが形式的な判断をし,特別成果加算報酬を0円と算定したことは,国選弁護人の活動を否定するに等しく,実質的にも極めて不合理である。
 当会は,2009年(平成21年)8月にも,国選弁護事件における私的鑑定費用等の支払いに関して会長声明を発表したが,未だこの点に関する法テラスの報酬基準は改められていない。
 また,徐々に改正されてはいるものの,依然として,保釈や無罪等に関する特別成果加算報酬の金額は低いと言わざるを得ないし,起訴後の接見回数が全く報酬に反映されない,被疑者段階の接見回数においても報酬算定のうえで基準回数が設定されている,特急料金や謄写料等の実費も全額が支払われないなど,法テラスの報酬基準には多くの問題が残されている。
 当会は,法テラスに対し,国選弁護人の活動が正当に評価され,報酬に反映されるよう,国選弁護報酬基準及びその運用の抜本的見直しを強く求めるものである。
 
 2011年(平成23年)10月12日
 
岡山弁護士会
会 長  的  場  真  介
 
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