(2011.11.06)岡山弁護士会ハンセン病問題を考える集会における集会決議
集会決議
平成23年11月 6日
集会参加者一同
本日、岡山弁護士会主催によりハンセン病問題について考える集会「ハンセン病のことを知っていますか?〜今も残る課題」が開催された。
今から10年前の平成13年5月11日、熊本地方裁判所は、「らい予防法」及びこれに基づく国の隔離政策が違憲であり、国に法的責任があることを認める判決を言い渡し、国は控訴を断念しこの判決は確定した。
この判決を受けて、国は、「13の国立ハンセン病療養所入所者(今後入所する者を含む)が在園を希望する場合には、その意思に反して退所、転園させることなく、終生の在園を保障するとともに、社会の中で生活するのと遜色のない水準を確保するため、入所者の生活環境及び医療の整備を行うよう最大限努める」ことを確約した。
ところで、平成13年当時、全国13の国立療養所の入所者は4400名と言われていたが、現在では、入所者数はすでに3000名を大きく下回っており、入所者の平均年齢も80歳を超えている。10年後には、入所者数はさらに3分の1以下になるとも言われている。
このような急速な高齢化と入所者数減少の中、医師等医療職の定員の確保が困難な状況も生じており、ハンセン病療養所は、医療体制及び生活水準の確保が緊急の課題となっている。
平成20年6月18日、「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」(ハンセン病問題基本法)が制定された。そして、同法第12条第1項において、「国は、入所者の生活環境が地域社会から孤立することがないようにする等入所者の良好な生活環境の確保を図るため、国立ハンセン病療養所の土地、建物、設備等を地方公共団体又は地域住民等の利用に供する等必要な措置を講じることができる。」と規定され、ハンセン病療養所を地域に開かれた施設となすべく法的整備がなされた。
ハンセン病問題基本法の成立を受け、岡山県にある2つの国立ハンセン病療養所長島愛生園及び邑久光明園は、平成23年3月、各園独自の将来構想を策定し公表している。
これらの将来構想は、高齢化したハンセン病療養所入所者の努力のみで到底実現できるものではなく、県民、国、地方自治体及び各種団体が力を結集して初めて実現可能なものである。
本日の集会において、参加者は、ハンセン病問題の深刻さ及び将来構想実現の緊急性・必要性を学んだ。
本日の集会参加者一同は、県民、国、地方自治体及び各種団体と力を合わせて長島愛生園及び邑久光明園の将来構想実現に向けて取り組むことを決意しここに決議する。
以上