(2011.12.26)外国籍会員の参与員選任を求める会長声明

1 当会は,2011年(平成23年)10月17日,岡山家庭裁判所からの推薦依頼を受けて,2012年(平成24年)1月1日からの任期の参与員について,2011年(平成23年)11月7日付けにて,外国籍弁護士1名を含む15名の参与員候補者を当会会員の中から推薦した。
 ところが,2011年(平成23年)12月12日,岡山家庭裁判所から,日本国籍を有しない者については参与員に選任しない旨の連絡があった。その理由の概要は,参与員は,審判に立ち合って家事審判官に意見を述べ(家事審判法第3条1項),あるいは,人事訴訟において,審理又は和解の試みに立ち会って,裁判所に意見を述べる(人事訴訟法第9条1項)立場にあるため,公権力の行使または国家意思の形成への参画にたずさわる公務員に該当するというものである。
2 しかしながら,法律にも,最高裁判所規則にも,参与員について日本国籍を要求する条項は存在せず,ただ,「徳望良識のある者」(参与員規則 第1条)とされているのみである。最高裁判所のホームページにおいても,参与員については,「選任されるための特別な資格などは必要ではなく,人望があって,社会人としての健全な良識のある人から選ばれています。」と説明されているに留まる。
3 参与員の上記のような職務に鑑みれば,弁護士としての専門的知識を備え,あるいは,社会生活の上での日本の社会制度や文化,そこに住む市民の考え方に精通し,人格識見を備えた人物であれば,参与員としての資質に欠けるところはなく,日本国籍の有無を問題とすべきではない。ことに今回,参与員として選任されなかった会員は,永住資格を有し,司法修習を終え,弁護士としての経験を積み,参与員としての能力・適格性を十分に備えているものである。
  また,参与員の職務の内容は,裁判所・家事審判官の補助機能しかなく,いわゆる公権力の行使に当たるものではない。破産管財人,相続財産管理人,不在者財産管理人など,公的側面も有する職務について,外国籍の弁護士等の就任が認められていることに照らしても,参与員が,審理に立ち会い,家事審判官に意見を述べる立場等にあることをもって,外国籍の者を参与員に選任しないとすることには,合理性を見出しがたく,国籍を理由とする不合理な差別というほかなく、これを是認することは到底できない。
4 よって,当会は,岡山家庭裁判所に対して,当会が推薦した外国籍の会員についても参与員に選任するよう改めて求めるものである。
2011年(平成23年)12月26日
                 岡山弁護士会
                      会長  的 場 真 介

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