(2025.03.13)重ねて選択的夫婦別姓の早期法制化を求める会長声明
2024年10月29日、国連の女性差別撤廃委員会は、日本の女性政策について最終見解を公表し、夫婦同姓を義務付ける民法の規定を見直し、選択的夫婦別姓を導入するよう勧告した。同委員会が夫婦同姓を定めた日本の民法について 初めて勧告を出したのは、20年以上も前の2003年であり、今回は4回目となる。
1996年に法制審議会が選択的夫婦別姓を盛り込んだ民法改正案を答申して既に約30年になる。にもかかわらず未だに選択的夫婦別姓の法制化に消極的な考えを取る者の中には、通称使用で十分に対応できるとの意見がある。しかし、こうした意見は、大前提としての改姓によるアイデンティティの喪失や心理的な負担の解消を考慮していない。また、公的な手続において通称使用が通用しない場面があるばかりか、旧姓併記の場合の本人及び企業等の経済的なコストや負担を無視しているなど、もはや通用しない考えであると言わざるを得ない。
また、経団連も、2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める政府への提言を発表した。これも、国際社会ではパスポートの名前と通称とが違っていることは通用せず、通称使用だけでは解決できない問題などが生まれているからである。
昨年5月25日に岡山弁護士会が主催した憲法記念県民集会においても、2015年の最高裁判決で民法750条の夫婦同氏制は憲法24条に違反するとの少数意見を述べた櫻井龍子元最高裁判事が、自らが最高裁判事に就任した際にそれまでの通称が使えなかった屈辱感を赤裸々に述べられ、「夫婦同一の姓には限界がある」など夫婦同氏制における通称使用の限界を説かれた。
これまでも岡山弁護士会は、2016年1月13日、2021年4月5日、2021年7月15日の3度にわたり、選択的夫婦別姓の法制化を求める会長声明を発出してきた。
もはや一刻の猶予も許されない。重ねて、早期に日本政府が選択的夫婦別姓の法制化を実現するよう求める。
以上
2025年(令和7年)3月13日
岡山弁護士会
会長 井 上 雅 雄