(2024.12.11)防災庁の設置にあたり災害ケースマネジメントと地域復興を見据えた体制づくりを求める会長声明

 現在、2024(令和6)年11月1日に防災庁設置準備室が発足し、2026(令和8)年4月の防災庁の設置を目指して準備が進められている。防災庁の設置により、①被災者が安心して過ごせる避難生活環境の整備、②官民連携による災害対応力の強化、③防災DXの加速が期待されている。
 当会は、防災庁が設置されることにより、省庁間の連携が強まり、災害対策が迅速化され、被災者一人ひとりの状況に応じた伴走型のオーダーメイドの支援を行う災害ケースマネジメントがこれまで以上に迅速かつ適切に行われることに期待し、上記①から③の方向性に賛同する。
 しかし、省庁間の連携が強まらず、既存被災者支援制度のみで復興ロードマップが作られると、防災施策の抜本的な強化に至らず、屋上屋を重ねる状態になることが懸念される。
 省庁間が縦割りとなりがちな現状を踏まえると、各省庁から防災庁に出向することになる政策統括官や審議官などの幹部ポストの人選において、災害ケースマネジメントや復興後の地域活性化のため、厚生労働省や経済産業省から人選をすることも必要と考える。
 被災者支援の混乱を止めて、迅速かつ適切に災害に対応することが防災庁設置の目的なのであるから、設置に向けてその中身を検討している今こそ、当会は、関係の全省庁の連携が取れるような人事も含めた体制づくりを強く要請する。
 災害救助法について、将来的に福祉の側面に重点を置く改正が見込まれており、被災者支援において災害ケースマネジメントを中心とした体制が必要となってくる。近時の大災害の経験から、災害ケースマネジメントが迅速かつ適切に行われるためには、平時における顔の見える連携関係の構築が重要であり、自治体と士業団体との連携や、重層的支援体制整備事業・生活困窮者自立支援事業・居住支援協議会等を通じて災害に備えることが求められている。
 したがって、防災庁の設置にあたり、関係省庁や自治体との連携とともに、士業団体や地域の支援団体との連携についてもその目的とすることによって、災害ケースマネジメントと地域復興を見据えた体制づくりを求める。

以上

 
2024年(令和6年)12月11日

岡山弁護士会     
会長 井 上 雅 雄

 


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