安保法制改正法案の強行採決に抗議する岡山弁護士会歴代会長有志による声明
安倍内閣は,昨年7月1日,歴代政府による従前の憲法解釈を変更し,集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行い,これに基づき今国会に集団的自衛権の行使を可能とする自衛隊法・武力事態対処法等の安全保障法制改正案を提出し,7月16日衆議院はこれらを全て可決する強行採決をした。
しかし,現憲法のもとで行使できるのは個別的自衛権に限られるという長年積み重ねられてきた歴代政府の憲法解釈を一内閣の判断で変更することは,憲法は国家権力を縛るという立憲主義に反し,ひいては国民の意思にも反している。
さらに,安全保障法制改正案は,「存立危機事態」という不明確な概念のもとで,自衛隊が米軍その他の外国軍隊とともに,時間的,場所的な制約なしに武力行使することに道を開くこととなり,「我が国に対する武力攻撃が発生した場合にこれを排除する必要最小限度の実力行使」(合憲とする枠組み)という範疇を踏み外し,これにより「武力の行使による国際紛争の解決」を禁じた憲法9条に違反することは明らかである。
このような理由からほとんどの憲法研究者が憲法違反と言い,数々の世論調査の結果からも多くの国民が反対していることが明らかな安全保障法制改正案の強行採決は,憲法の平和主義,立憲主義,国民主権に反する暴挙である。よって,政府に対して法案の撤回を求めるとともに,国会に対して法案を廃案とするよう求める。
昭和52年度 会長 一井淳治 昭和57年度 会長 井藤勝義
昭和58年度 会長 陶浪保夫 昭和60年度 会長 片山邦宏
昭和61年度 会長 田淵浩介 昭和63年度 会長 奥津 亘
平成 2年度 会長 河原昭文 平成 7年度 会長 高原勝哉
平成 8年度 会長 西田秀史 平成 9年度 会長 佐々木齊
平成10年度 会長 平井昭夫 平成11年度 会長 西田三千代
平成13年度 会長 山崎博幸 平成14年度 会長 和田朝治
平成15年度 会長 水谷 賢 平成16年度 会長 河田英正
平成17年度 会長 平松敏男 平成18年度 会長 大石和昭
平成19年度 会長 中野 惇 平成20年度 会長 秋山義信
平成21年度 会長 東 隆司 平成22年度 会長 河村英紀
平成23年度 会長 的場真介 平成24年度 会長 火矢悦治
平成25年度 会長 近藤幸夫 平成26年度 会長 佐々木浩史
平成27年度 会長 吉岡康祐