よくある質問│刑事事件について
- 当番弁護士とは何ですか?
- 当番弁護士とは、あなたやあなたの家族、知人が刑事事件により警察に逮捕された際に、弁護士が逮捕された人の下へ駆けつけて逮捕された方のためのアドバイスをする制度です。当番弁護士は逮捕勾留中に一度だけ無料で利用できます。
- 当番弁護士の役割とは何ですか?
- 当番弁護士は、逮捕された人のために刑事手続きの説明をしたり、捜査段階で不利な取り扱いを受けないためのアドバイスをしたりします。また、必要があれば弁護士を通じて家族との連絡をとることもできます。
- 当番弁護士を呼ぶにはどうすればいいですか?
- 当番弁護士を呼ぶためには逮捕された本人の場合には警察、検察、裁判官に「当番弁護士を呼んで下さい。」と頼んで下さい。そうすれば、当番弁護士に連絡がいくようになっています。
逮捕された人の家族、知人の方が呼ぶ場合には、岡山弁護士会(086-223-4401)に電話で連絡して下さい。連絡いただく場合には、
1.逮捕された人のフルネーム
2.罪名(事案の概要)
3.留置されている場所
4.逮捕された日
5.依頼される方の氏名・住所・電話番号と逮捕された人との関係、などを
わかる範囲でメモしたうえで電話いただくと手続きがスムーズです。土日・祝日は留守番電話にて受付をしております。
当番弁護士は、原則として連絡をいただいてから48時間以内に逮捕された人に面会致します。
- 当番弁護士を頼んだ後はどうなりますか?
- 派遣された当番弁護士に引き続き弁護を依頼したい場合は当番弁護士に申し出てください。当番弁護士が弁護を引き受けた場合には、私選弁護人として活動することになります。費用等については当番弁護士にご相談ください。
また、一定の要件をみたす場合には当番弁護士を頼んだ後でも国選弁護人を依頼することも可能です。
- 弁護人とは何ですか?
- 身柄を拘束されている方や犯罪の嫌疑をかけられている方の依頼に基づき、継続的に相談に乗ったり、警察や検察から不当な取扱いを受けている場合には止めるよう要請したり、刑事処分の結果が軽減されるように活動を行ったりする弁護士のことです。
- 私選紹介制度とは何ですか?
- 警察に逮捕・勾留された場合や警察から犯罪の嫌疑をかけられていて継続的に活動してくれる弁護士を依頼したいが、知っている弁護士がおらず誰に頼めばよいのか困っている方のために、岡山弁護士会が受任してくれる弁護士を紹介する制度です。
当番弁護士を呼んだが、改めて継続的に活動してくれる弁護士を依頼したいという場合も私選紹介を通じて弁護士を依頼することができます。
- 私選紹介制度を使うにはどうしたらいいですか?
- 岡山弁護士会(086-223-4401)に電話で連絡し、「私選弁護人を依頼したい。」と伝えて下さい。
- 弁護士費用について(私選紹介制度)教えて下さい
- 弁護士費用については、紹介された弁護士とよく相談して決めて頂くこととなります。
- 国選弁護とは何ですか?
- 国選弁護とは、貧困などの理由で自分の費用では弁護士を頼めない場合に、国が被疑者被告人のために弁護人を選任することをいいます。
- 国選弁護人の役割を教えて下さい
- 国選弁護制度は、刑事訴訟手続において、被疑者・被告人が貧困などの理由で私選弁護人を選任することができないときに、国がその費用で弁護人と付することで、被疑者・被告人の権利を守ろうとする制度で、国選弁護人の役割も基本的に私選弁護人の役割と異なることはありません。
- 国選弁護人を頼むにはどうしたらいいですか?
- 国選弁護人を頼むには、勾留された被疑者が、裁判所から送られてきた国選弁護人請求書に必要事項を記載の上、裁判所に返送します。
- 弁護士費用について(国選弁護人)教えて下さい
- 国選弁護の費用は、基本的には国の負担となりますが、判決で訴訟費用を負担することの言い渡しがされた場合には被告人が自ら負担する必要が生じます。
- 裁判員制度って何ですか?
- 司法権では,法曹三者制度という制度により,社会に生じた事件を,3つの方向から光を当てることで,適切な解決を導こうという制度を採用しております。
検察官は発生した事件の悪い側面に光を当て,弁護人は良い側面に光を当てます。そして裁判官は,それを中立的な立場で耳を澄ませて聞きながら,自らも事件に光を当てるのです。
社会で発生した事件を早く解決しようとすれば,司法権の担い手は,一人だけの方が,何でも早く決めることができて,都合が良いはずです。
ところが司法権では,法曹三者制度という制度が採用されています。この制度は,一人の法律家がすべてを決めるのではなく,法律家を,検察官・弁護人・裁判官の3つの役割にあえて分け,それぞれが違った方向から事件に光を当てる,という制度です。そのような制度こそが,事件の事実認定につき,さらには量刑について,社会にとって最も適切な解決となるという,歴史的な経験に基づく制度なのでしょう。
日本の社会では,これまで法律の専門家のみが法律を動かすだけでした。その結果,刑事裁判の結果が,社会の求める事件の解決と離れてきているのではないか,という意見が見受けられるようになりました。また,再審無罪事件のように,冤罪が発生してしまうのはなぜか,これまでの裁判制度には,問題があるのではないか,という意見が強くなりました。
そのような法律制度と社会の要請との乖離を受け,刑事事件の解決をより社会が求めている姿に近づけるために,平成21年5月21日から始まったのが,裁判員制度です。
このように裁判員制度は,これまで法律の専門家のみによって行われていた刑事裁判に,裁判員の方々にも参加していただくものです。上述しましたように,これまでは,法曹三者が3つにその役割を分け,それぞれの立場から事件に光を当てるだけでした。
そこに裁判員の方々に参加していただき,裁判員の方々から国民一般の目線に立って事件に光をあてていただくことで,刑事事件の解決を,より社会の求めている姿に近づけていこう,という制度です。
- 自分が裁判員になることについて不安があるのですが?
- 元々法律そのものは紙の上に書かれた存在にすぎません。その法律に,一人一人が,自身の価値観,社会観,経験などからアプローチすることによって,法律は動き出すのです。その結果,社会も変わっていきます。
そして,法律がよりよい動きをするためには,多様な価値観,経験が反映されることが望ましいのです。反映される価値観の多様性こそ,法律の命であり,それが多様であれば多様であるほど,法律は社会をより良い姿に変えていくことができます。
裁判員制度は,これまで法律の専門家のみによって行われていた刑事裁判に,裁判員の方々にも参加していただくことで,裁判員の方々から法律の専門家とは異なる光を発生した事件にあてていただこう,という制度です。
ぜひ私どもと一緒に,刑事裁判に参加していただいて,裁判員の立場から,専門家では思いつかないような,価値観,社会観,経験から,事件に光をあてていただき,その結果,刑事事件の社会的解決を,より社会が求めるものに,近づけていっていただきたい。そう思っております。
- 「無罪推定の原則」って何ですか?
- 刑事裁判では,無罪推定の原則に従って,裁判が行われます。それは,刑事裁判では検察官が証明責任を負っており,被告人が有罪であることが間違いないとされなければ,その被告人は無罪とされなければならない,という原則です。疑わしきは罰せず,という言葉でも言い表されます。
裁判で取り調べられた証拠を検討した結果を常識に従って判断し,被告人が起訴状に書かれている罪を犯したことは間違いないと考えられる場合に,初めて有罪とすることになります。逆に,常識に従って判断し,有罪とすることについて疑問があるときは,無罪としなければならないのです。
裁判員として裁判に参加してくださる方は,この無罪推定の原則を常に念頭に置いて,裁判に臨んでいただきたいと思います。