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公費解体の申請期限延長についての要望書
2019.03.08

要望書


1 要望の趣旨

平成30年7月豪雨の被災者が被災した家屋を解体するか修繕するかを十分に検討できるよう,公費解体の申請期限を柔軟に延長し,延長した旨を早期に公表していただくことを要望します。

2 要望の理由

  平成30年7月豪雨の被災者は,現在,避難所での生活から仮設住宅などでの生活に移り,自宅の再建等に向けて動き出し始めています。

そのような中,岡山弁護士会においては,平成30年7月豪雨発生直後から災害電話無料相談や被災地での出張法律相談を行い,合計1000件を越える相談を受けておりますが,被災者から,生活再建,とりわけ被災した自宅に関する相談が数多く寄せられています。これらの相談のうち,修繕等を希望するものに対しては,当会としても,法律専門家として,公的支援の情報提供や,自然災害債務整理ガイドラインや各種貸付制度の紹介に努めていますが,被災者の中には,これらの情報を短期間で十分に理解し,利用を決断することが難しい方も多く存在します。

こうした中,被災地の各自治体が実施されている公費による家屋解体の申請期限が迫っています。

具体的には,平成31年2月末日時点で,倉敷市が同年6月末を,その他の岡山県内の多くの自治体が同年3月末を公費解体の申請期限としており,その地域の被災者は,自宅を取り壊すかどうかという大きな決断を,災害が発生してから1年以内にしなければなりません。

そして,公費解体の申請期限が迫ってきている状況においては,被災者が解体・撤去の費用が自己負担となることを回避したい心理から,修繕可能かどうかを慎重に判断する前に,駆け込みで公費解体の申請を余儀なくされるケースが,少なからず存在するものと危惧しております。

また,いわゆる二重ローン問題(災害前の住宅のローンと,新たなローンとの二重の負担が発生することや,新たなローンが組めなくなることにより,生活の再建が困難になる問題)を未然に防ぐために災害前の被災者の債務を減額・免除する,自然災害債務整理ガイドライン手続の申込者が岡山県内には本年2月末日現在で189名います。このうち,本年2月末日時点で手続が完了して金融機関と債務の減額・免除の合意まで至った利用者はおらず,本年3月末時点では100名を越える申込者について,また,倉敷市の申請期限である本年6月末でも相当数の申込者について,手続が終了していないと予想されています。債務が減額・免除されるか分からない手続の途中では,被災者にとって公費解体の申請をすべきか判断することが困難であるだけでなく,抵当権者である金融機関にとっても,解体に同意すべきか判断することが困難です。したがって,申込者が,解体の要否について,十分に制度を理解し,検討できるだけの時間的猶予を設けることが,災害からの復興のため必要不可欠といえます。

公費解体の申請期限を延長することで,被災者には自宅を取り壊すか修繕するか熟慮する時間が得られます。その結果,一人でも多くの被災者が自宅に戻って生活できるようになるのであれば,本来必要がない公的資金の公費解体への投入を避けることや,住民の流出による地域のコミュニティーの喪失を回避することにも繋がります。また,解体工事の着工時期が来年度のものも多数見込まれている現状を考えると,延長を認めたとしても,特段,行政事務上の混乱は生じないものと思われます。

岡山弁護士会に寄せられる相談の多くが自宅の再建に関するものであり,平成30年7月豪雨災害において,岡山県内では水没被害が多かったため,土地,住宅の基礎部分,柱や屋根などが損壊していない住宅も多く,リフォームも重要な選択肢であることから,土地や基礎部分も損壊することが多い地震の場合と比べてもさらに公費解体するか判断が難しいケースが多いと考えます。

よって,公費解体の要否につき,被災者が十分に検討する時間的猶予を設けるため,前例にとらわれることなく公費解体の申請期限を柔軟に延長していただき,申請期限延長が決定した旨を早期に公表していただきますよう要望します。

以上


2019年(平成31年)3月8日

岡山弁護士会     
会長 安 田   寛

 

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