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「大崎事件」第3次再審請求即時抗告棄却決定に関して,検察官に対して特別抗告を行わないことを求める会長声明
2018.03.14
 福岡高等裁判所宮崎支部(根本渉裁判長)は,2018年(平成30年)3月12日,「大崎事件」第3次再審請求事件(請求人原口アヤ子氏等)に関し,いずれの事件に対しても,検察官の即時抗告を棄却し,鹿児島地方裁判所の出した再審開始決定を維持する決定をした(以下「本件決定」という。)。
 「大崎事件」は,1979年(昭和54年)10月,原口アヤ子氏が,原口氏の元夫及び義弟と共謀の上被害者を殺害し,その遺体を義弟の息子も加えた計4名により遺棄したとする事案である。原口氏は逮捕時から一貫して無罪主張したにもかかわらず,確定審は,「共犯者」とされた元夫,義弟,義弟の息子の3名の自白,法医学鑑定,義弟の妻の供述等を証拠とし,原口氏に対し,懲役10年の有罪判決を下し,原口氏は刑に服した。
 第1次再審請求において,2002年(平成14年)3月26日,鹿児島地方裁判所は再審開始決定を出したものの,検察官の即時抗告により同決定は福岡高等裁判所宮崎支部により取り消され,その後,最高裁で再審請求棄却決定が確定した。そして,第2次再審請求においても再審への扉は閉ざされたままであった。
 しかし,第3次再審請求審において,2017年(平成29年)6月28日,鹿児島地方裁判所は,新証拠である,法医学鑑定人及び供述心理学鑑定人の証人尋問に加えて,積極的な訴訟指揮によって証拠開示を促進した上で「殺人の共謀も殺害行為も死体遺棄もなかった疑いを否定できない」と判示し,本件について2度目の再審開始決定を出した。本件のように同一事件において2度の再審開始決定が出されたのは免田事件以来のことである。
 しかし,検察官は,90歳という原口氏の年齢や2度目の再審開始決定であることの意義を省みることなく,2017年(平成29年)7月3日即時抗告を行い,原口氏は更なる審理を余儀なくされた。これに対し,他の再審請求事件においては,即時抗告審の審理が長期化することが多いなか,即時抗告理由の有無のみの判断に絞り,即時抗告から約8か月という比較的短期間のうちに出された本件即時抗告の棄却決定について,当会はこれを高く評価する。
 本件は事件発生から39年の歳月が経過しようとし,原口氏は間もなく91歳に達すること,本決定において特別抗告の理由となるような憲法違反や判例違反の主張は考えにくいこと,迅速な裁判を受ける権利(憲法37条1項)は再審事件の場合にも当然に該当すると解されることから,当会は,検察官に対して,再審事由があるとの判断を維持した本件決定を真摯に受け止め,特別抗告を行うことないよう,強く求めるものである。
 
2018年(平成30年)3月14日
岡山弁護士会会長 大土 弘
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