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戦後70年を迎えるにあたっての会長談話
2015.08.12
戦後70年を迎えるにあたっての会長談話
 
 2015年(平成27年)8月15日、戦後70年を迎えます。先の大戦は、私たちの想像がつかないほど悲惨で、惨い戦争であったと、戦争を体験した父や母あるいは先輩たちから聞いています。一枚の赤紙で兵隊にとられ、夫や恋人、息子を失った者。戦死したら、お国のために命を捧げた英霊と崇められるだけで、遺骨も帰って来ない。国民は、日々空襲の恐怖と飢えに苦しみ、明日への希望も持てなかった。命をつないでゆくだけで必死だったと聞いています。また、出征した兵士は、片道切符の戦闘機や特殊潜航艇で特攻を命じられたり、玉砕覚悟の突撃を強いられたり、理不尽な戦闘行為によって命を奪われました。捕虜になることを恥とし、自決させられた者もいます。あるいは、飢餓や疫病で命を失った兵士、戦後シベリアへ抑留され帰還できなかった人も大勢います。国内では、沖縄においては激しい地上戦が行われ、兵士だけでなく多数の非戦闘員(民間人)が犠牲になりました。空襲も東京、大阪等の大都市だけでなく日本各地の都市におよび、広島・長崎では、原子爆弾によって、一瞬のうちに何万もの人々の命が奪われました。おそらく自分が何故死んでゆくのか理解しないまま、亡くなったものと思います。戦争によって亡くなった全ての人々の無念さを想像すると、筆舌に尽くし難い思いが募ります。 
 他方、日本は、先の大戦によって、アジア・太平洋地域の人々に対しても、多大な被害を加えています。無差別攻撃、一般住民や捕虜に対する虐殺、生体実験、性的虐待、強制連行、強制労働、財産の没収、文化の抹殺等、アジア・太平洋地域の人々の生命だけでなく、自由や財産や文化までも奪いました。先の大戦の評価についてはさまざまではありますが、戦後50年に出されたいわゆる「村山談話」では、率直に植民地支配に基づく侵略戦争であったことを認め、それに対して真摯に反省するとともに、被害者に対する謝罪を、日本政府は行っています。過去に犯した過ちを反省・謝罪し、今後再びこのような過ちを繰り返さない決意をすることは、何度してもけっして十分ということはありません。
 私は、まず、この戦後70年を迎えるにあたって、先の大戦によって生命・自由・財産・文化を奪われた全ての国の犠牲者に対して、心から哀悼の意を表したいと思います。
 戦後、われわれは、先の大戦の痛切な反省から平和憲法を定めました。その前文には、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないよう決意し」、憲法9条では「戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認」が謳われています。憲法施行後、自衛隊が創設されましたが、平和憲法の下で、自衛隊の活動は制約され専守防衛に徹し、この70年間、日本は戦争当事者となることなく平和国家としての道を歩んできました。戦争放棄を定めた憲法9条は、日本が国際社会の中で信頼を得る上で大きな役割を果たしてきたものと思います。そして、憲法9条を持つ日本国憲法の下で、法律家として仕事ができることを私は誇りに思っています。
 ところで、日本政府は、日本を取り巻く国際環境の変化を理由に、戦後一貫して否定してきた集団的自衛権の行使を、憲法9条を改正することなく閣議決定で容認し、それに引き続いて、現在国会では集団的自衛権行使のための各種安全保障法制が立法化されようとしています。この動きは、戦後の恒久平和主義に立脚した我が国の70年の平和な存立の歴史とそのための努力を真っ向から否定するものであり、恒久平和主義に反するだけでなく、憲法に反する法律を、憲法を改正することなく成立させようとするもので、立憲主義にも反し、とうてい許されるものではありません。
 軍事的抑止力によって平和がもたらされるという論理は、かつての歴史が明確に否定しています。日本国憲法前文で規定されているように、平和は、「諸国民の公正と信義に対する信頼」によってこそもたらされるものであることを日本政府は認識すべきです。文化・哲学・文学・芸術・芸能・映画・漫画・アニメ・音楽・経済・産業・医療・技術・観光・スポーツ・ボランティア活動等々、あらゆる分野で我が国は世界中の多くの国々とあるいは人々と国際交流を重ね、進展している状況に鑑み、日本政府は軍事力に頼らず、軍事力以外の分野での国際交流を通じて、平和外交の道を模索すべきです。そして何よりも、武力による威嚇外交ではなく、対話による平和外交を望みます。
 1950年。日本弁護士連合会(以下「日弁連」という)は、第一回定期総会を原爆によって壊滅的被害を受けた平和都市「広島」で開催しました。それに引き続き行われた平和大会で、われわれ弁護士は、「平和と人権」を守る活動をすることを宣言しました。「基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命」とする弁護士の決意宣言です。「戦争は人権の最大の敵」であることを考えると、平和を守ることこそ弁護士の使命であると言っても過言でありません。
 私は、岡山弁護士会会長として、憲法とりわけ憲法9条が危機的状況に陥っている今日、広島の「平和宣言」を再び思い起こし、日弁連及び全国の弁護士会そして平和を愛する国民の皆様とともに、日本国憲法の理念と基本原則を堅持し、戦争のない社会を構築するため、全力を尽くすことを誓います。
 
 2015年(平成27年)8月12日
                          岡山弁護士会     
                           会長 吉 岡 康 祐
 
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