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商品先物取引についての不招請勧誘禁止撤廃に反対し,改正金融商品取引法施行令に同取引に関する市場デリバティブを加えることを求める会長声明
2013.11.13

 商品先物取引についての不招請勧誘禁止撤廃に反対し,改正金融商品取引法施行令に同取引に関する市場デリバティブを加えることを求める会長声明


1,本年6月19日,衆議院経済産業委員会において,証券・金融・商品を一括的に取り扱う総合取引所での円滑な運営のための法整備に関する議論の中で,内閣府副大臣は,委員の質問に対し,商品取引に不招請勧誘禁止の規制がかかっているが,これを金融と同様に不招請勧誘の禁止を解除して,取引所取引については行えるようにする方向で推進をしてまいりたい旨の答弁をした。
    また,本年8月23日付金融専門紙記事には,政府が商品先物取引に対する不招請勧誘規制の解除を検討することが報じられた。
    商品先物取引については,商品先物取引法で規制され,不招請勧誘が禁止されているところ(商品先物取引法214条9号),当該内閣府副大臣の答弁及び当該報道は,総合取引所において商品先物取引業者に対し監督権限を有する金融庁が,商品先物取引に関する法規制について,不招請勧誘禁止を撤廃することを検討していることを示すものである。
2,しかし,このような動きは,不招請勧誘禁止規定が導入されるに至った経緯を全く無視し,消費者保護を著しく後退させるものあって,決して看過できない。
    商品先物取引は,取引所に上場された商品について,将来の一定の時期にこれらの商品の現物を受け渡すことを約して,その価格を現時点で決めて行う取引であり,期日以前に差金決済を可能とする取引である。同取引は証拠金取引であるため,わずかな価格変動により,多額の損益が生じる取引である。商品の価格は,単に需要と供給の関係だけで決まるのではなく,政治的動向,為替変動等多様な要素が影響して形成されるため,一般の消費者が的確に予測し,取引の判断をなしうるものではない。
    商品先物取引業者は,商品先物取引について特段知識のない一般消費者を,突然の電話勧誘により取引に引き込み,多額の損害を被らせる被害を多く生じさせてきた。全国の消費生活センターに寄せられる相談件数は,90年代半ばから増加を始め,平成14年度には,7582件,ピーク時の平成16年度には,10466件にも及んだ。
    商品先物取引の目的は,公正な価格形成とリスクヘッジにあるところ,価格変動を予測できない素人顧客が取引に参加しても公正な価格形成に寄与せず,リスクヘッジの必要もない。取引に関心のない一般人が,突然勧誘をうけ取引に引き込まれ,損失を被ることは,消費者被害に他ならず,これを防止する必要は高い。
3,そのため,商品取引所法(現・商品先物取引法)は,幾度も委託者保護のため法改正が行われたが,商品先物取引業者による強引な勧誘を契機とする消費者被害は根強く生じ続けたため,平成21年,不招請勧誘を禁止する改正が行われた。平成21年改正法は平成23年1月施行され,消費生活センターに寄せられる相談件数は平成23年度1507件,平成24年度900件にまで減少した。不招請勧誘の禁止は,統計的に消費被害の防止に有効であったことを示している。
    その後,経済産業省産業構造審議会商品先物取引分科会は,平成24年8月21日付け報告書にて「商品先物取引に係る苦情等の件数は着実に減少しており,不招請勧誘の禁止を含めた勧誘規制に関する累次の法律改正や,関係者の法令遵守の取り組みが一定の効果をあげていると考えられる。不招請勧誘の禁止の規定は施行後1年半しか経っておらず,これまでの相談・被害件数の減少と不招請勧誘の禁止措置との関係を十分に見極めることは難しいため,引き続き相談・被害の実態を見守りつつできる限りの効果分析を試みていくべきである。その上で,将来において,不招請勧誘の禁止対象の見直しを検討する前提として,実態として消費者・委託者保護の徹底が定着したと見られ,不招請勧誘の禁止以外の規制措置により再び被害が拡大する可能性が少ないと考えられるなどの状況を見極めることが適当である。」とし,当面不招請勧誘禁止を維持すべきと報告している。
4,にもかかわらず,消費者・委託者保護の実態の検証が何もなされないまま,金融庁が商品先物取引について不招請勧誘禁止を撤廃することは極めて不当である。不招請勧誘禁止から僅か2年余りで規制を撤廃すれば,再び多くの悲惨な消費者被害を生じさせることになりかねない。
5,すでに総合取引所構想の実現のため,金融商品取引法の定める金融商品に商品先物取引を加えた改正法が成立しており,その施行は平成26年3月に迫り,金融庁は現在施行令等の改正作業を行っている。この施行令の改正において,商品先物取引については,店頭デリバティブと同じく市場デリバティブも不招請勧誘禁止の規制の適用がある取引に加えなければ,(金融商品取引法施行令16条の4第1項),総合取引所に上場する商品先物取引には,不招請勧誘禁止規定が適用されなくなる。そのため,不招請勧誘を契機とする商品先物取引による消費者被害を防止するため,改正金融商品取引法施行令に商品先物取引に関する市場デリバティブを加える必要がある。
6,以上より,当会は,消費者保護の見地より,商品先物取引についての不招請勧誘禁止を撤廃することに強く反対するとともに,改正金融商品取引法施行令に商品先物取引に関する市場デリバティブを加えるよう,強く求める。


平成25(2013)年11月13日

                                                    岡山弁護士会                      

                                                      会長 近 藤 幸 夫

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